2021/01/28
木口木版に挑戦
緊急事態宣言、相変わらず続いてます。少し感染者数が減ったようですが、果たして2月7日に解除されるのかは微妙ですね〜。
アトリエは受講生の皆様に手洗い、マスクなど感染対策をお願いして、3人体制で開講しています。
さてさて、いつもメゾチント作品を制作してるKさんが、お正月に木口木版の版木とビュラン2本を購入したそうで、「これからチャレンジしたい」と版木を持っていらっしゃいました!

木口木版とは、木を輪切りにしたものを版として、銅版画のエングレーヴィング技法で使うビュランという工具を使って掘っていくもの。
凸版刷りなので、彫ったところは白くなるという、銅版画のメゾチント技法と親和性の高い技法です。
ちなみに、普通の木版画は「板目木版」と言って、木を縦方向に切ったものをシナベニヤにした版を使います。
こちらはわりと柔らかめで、彫刻刀で楽に彫れますが、あまりに細かい絵柄は木が裂けてしまったりします。
それにひきかえ、木口木版はつげや桜の木の輪切りなので、とても硬いのです。
故に、細かい線描をビュランで彫っていくのに適しています。
木口木版の画像を検索するとやはり細かい絵ばかりですね!
というか、細かくない絵なら板目木版で良いわけなので(笑)木口木版のアイデンティティーは細密に細かい絵柄と言えるでしょう。
上の版木は、買ったものを1500番くらいの耐水サンドペーパーでツルツルになるまで磨き、墨汁を塗った状態。
これを、ビュランという工具で彫っていきます。

エングレーヴィングという銅版の技法は職人技と言えるくらい大変なものですが、木口木版だと相手は硬いとはいえ木ですから、まだ少しは楽に掘ることができます。

これはウン十年前に自分が学生時代に作った木口木版の版木です。
残念ながら刷った作品自体はどっかにいっちゃったんですが(笑)
昔の記憶をたどりつつ、Kさんの木口木版制作をプッシュしていきたいと思います〜。